【ボディガードの会社】身辺警護の事例③|店舗への営業妨害|クレーマーを警戒
この記事の著者:一般社団法人 暴犯被害相談センター
代表理事 加藤一統 (ボディガード歴25年)
ボディガード・身辺警備のご依頼で意外と多いのが、
コンビニ・クリーニング店などの商店や小売業主さまです。
毎日数十数百のお客様対応をする以上、中には素性の良くない方がいる事は当然です。
更にその中にはとても「お客様」とは呼べない「輩」が入り込むこともあり、店舗運営上の大きな問題といえます。
平穏な経営を取り戻すために取るべき対応と、身辺警備ができることをお話しします。
1.クレーマー対応
クレーマーによる被害は、こちらの落ち度とは関係ない事も多いため、
日常的な注意だけでは防ぎ切れません。
被害に遭わない心構えは持つべきですが、
万一の場合に対応を間違えないよう、取るべき対応を決めておく事がより重要です。
1-1 まず110番|やはり警察を頼りましょう
警察の「民事不介入」とはよく聞きますが、悪質な嫌がらせや営業妨害は警察でも対応できます。
そもそも度を過ぎた要求や暴言など、業務に支障が出るケースは刑事責任を問える可能性もあるのです。
ご商売柄、警察沙汰にはしたくない事業主様も多いと思いますが、後々のためにも必要に応じて110番通報をためらわないでください。
下記の記事をご覧ください。
参考記事:【弁護士が解説】クレーマー対応時に警察を頼るべきか。
警察は110番通報をすれば、通常数分で現場にやってきます。
警察官の存在は、被害者にこれ以上ない安心感をもたらし、
クレーマーに対しては
「自分のせいで警察が来た」という、
事態の重大さを突き付けると共に、冷静にさせる効果があります。
例えばストーカーでも、
たった一度の警察通報によって、
つきまといが完全に収まるケースが、実は少なくありません。
このように警察の介入は、
一般人にとっては少なからずインパクトがあるため、
事態を収めるには大変な効果があります。
1-2 110番通報では対処しれない相手の場合
しかしストーカーやクレーマーの中には、
警察の介入で大人しくなる連中ばかりではなく
、中にはある意味「プロ」のように、
違法行為スレスレをついてくる厄介な相手もいます。
そんな嫌がらせが続くと、
110番する事に気が引けるようになり、
無為な対応とストレスで、
心身ともに消費する期間が続くことになります。
また相手の目的が金銭の場合は、
手を出したらお終いなので、
実際に暴力を振るうことは滅多にありません。
しかし頭では理解していても、
威嚇に対して平常心でいられる方は居ませんし、
その役目を負うのが従業員の場合、
経営者としては早急に手を打つ責任があります。
もしも手におえないクレーマーが訪れたら、
- ためらわず警察に通報し
- それでも効果がなければ法的に対抗(弁護士に相談)
弁護士の介入は、
警察と同じかそれ以上にインパクトを与えるため、
9割以上はこれで収まります。
しかし相手の素性が分からず不安な場合や、
相手に前科があり、従業員の安全を考える場合などは、
身辺警備の出番になります。
1-3 クレーマー対策の警備人数と待機場所|どこで見張るの?
ボディーガードの人数は、下記の状況を鑑みた上で決定します。
「警戒相手(この場合クレーマー)の人数や規模」
「警備対象(店舗等)の広さや警備範囲」
「警護時間の長短(休憩交代の有無)」
「お客様のご要望」
一般的な店舗のクレーマー対策の場合、
1~2名で警護を行うことが多いです。
事前情報などから危険度が高い場合や、
長時間で交代要員が必要な場合などは、
3名以上の体制もあり得ます。
しかし、待機場所の問題や、警備方法、
また予算的にも、3名以上で警護おこなうメリットが無い事が多く、
類似案件の場合は6割強が1名体制です。
ベストな待機場所は、
事務所内など、実際にクレーマーが来店した際に、
素早い対応がとれる場所になります。
次いで多いのが
、駐車が可能な場合は直近に停めた車を待機場所にして、
クレーマーを警戒するケースです。
広さのある店舗であれば、
一般客に紛れていて巡回することもありますが、
不自然なうえ、他の方法に比べ無駄に体力の消耗が大きいので、
他に方法がない場合以外はおこないません。
1-4 実際の警備方法|クレーマーが訪れたら
ストーカーの場合、
身辺警備は存在を伏せてガードするケースが多いのですが、
クレーマーの場合は、
下記3つの理由から身分を明かすケースが多いです。
- こちらが本気である事のアピールになる。
- これ以上いやがらせを続けると、事件になると印象付ける。
- 相手の攻撃対象が警備に分散、もしくは完全に警備に移る。
恋愛感情が絡む相手の場合は、
他人の介入が原因で相手の自尊心を傷つけ、状況が悪化するケースがあります。
それに対して、クレーマーの多くは、
金銭目的が多く、(特に初期段階では)
事件化してまで嫌がらせを続けるメリットがありません。
実際にクレーマーが訪れた際は、
基本的に入店をお断りし
、店舗スタッフの方は一切対応せずに済むように壁になります。
繰り返し退去をお願いし、聞き入れない場合は即刻110番警察通報です。
ボディガードがトラブルの火種になっては、
元も子もありませんので、対応は丁寧に行うことが基本です。
しかし、相手が暴力に訴えてきた場合などは、
現行正当防衛・現行犯逮捕など、
一般私人に許された範囲の中で暴力を抑え込みます。
2.ボディーガードご依頼から警護開始までの流れ
弊センターにご相談いただいた方からは、
ご相談から警備の配置まで「思ったより大分早かった」と言っていただくことが多いですが、
警察のように、通報から10分以内に現場に到着とはいきません。
開始までの流れを、時系列でお話しします。
2-1 最初のコンタクトから開始までの所要時間
ボディガードの開始までには、下記の4ステップが必要になります。
- 探す
- 電話する
- 打ち合わせ
- 契約
1~4までに、早くても2時間切る事はありません。
もちろんご要望に応じて可能な限りの対応をしますが、
弊センターの場合、
例えば15時に最初のお問い合わせをいただくと、
「16:00打ち合わせ → 17:00話がまとまり契約 → 18:00警備開始」
上記の流れが最短ですが、
かなりスムーズに運んだ場合に限ります。
その時々の状況に依りますが、
さらにお時間をいただくケースがほとんどです。
最も多いのは、
上記のように15時にお電話いただいた場合、
翌日朝から開始のケースになります。
2-2 本件の見積金額予想
クレーマー対策の場合、
まずは3日前後の警護を実施して様子を見ます。
これには予算的に無駄をはぶく意味もありますが、
警備が常駐をはじめてから、
3日以内に迷惑行為がおさまるケースが多いためです。
過去にチェーン営業のクリーニング店で、
実際にあった例の見積りを紹介します。
場所:都内
期間:3日間
開店から閉店までの警護(09時~19時)
警護員1名
店舗事務所内に待機
1日当たり45,000円×3日=135,000円
交通費=2,100円
消費税=13,500円
総額=150,600円
2-3 良いボディーガード業者の見分け方
詳細は以前の記事
【ボディガード】東京1日の料金・相場|ダメなセキュリティー5つの特徴でも述べましたので、
ポイントのみ話します。
応対が上から目線
一番判りやすいNGサインです。
近年減りましたが、稀に横柄な警備会社があります。
横柄な態度に自身の裏返し等の意味はありません。
非常識なだけです。
こういった業者は仕事のレベルも低いので、
迷わず他社をあたりましょう。
レスポンスが遅い
どれくらいの時間を要したら「早い」または「遅い」のか?
状況とタイミングにもよるので軽々に言えませんが、
これでは回答にならないので、一応目安をお応えすると、
最初のお問合せ~ご依頼の可否の回答が
- 45分以内=早い
- 2時間以内=普通
- それ以上=遅い
これだけで会社の良否は判断できませんし、
正直弊センターでも2時間以上お待たせする事はあります。
少なくとも優良な業者は、
自ら回答までの時間区切るなど、
待つ方への配慮を忘れません。
自己顕示欲が強い
自己顕示欲の強い方がダメとは限りません。
しかし対人間のお仕事ですので相性は大事です。
あくまでボディーガードは裏方ですので、自意識が高すぎるのはどうかと思います。
直感的に引掛り、時間的に余裕があるなら、
他社にもご打診される事を、おすすめします。
派遣されたボディーガードが頼りない
契約後の話になりますが、
アルバイト風な人間が派遣されてきたら、
実際アルバイトの可能性が高いです。
アルバイトを雇う事に罰則はありませんが、
特に一人の現場に不慣れな人間を派遣する場合、
その会社のモラルを疑わざるをえません。
そもそもあなたが頼りないと感じたのなら、
クレーマーにも、舐められるのではないでしょうか?
警備業認定番号
警備業は許認可業であり、
都道府県公安委員会の認定が必要になります。
認可を受けていないという事は、
「モグリ」ということであり違法営業にあたります。
法的・道義的な問題だけでなく、
重大なトラブルの際
モグリの業者に、責任能力があるとも思えません。
2-4 まとめ【要点とご依頼の手順】
今回のまとめです。
※お忙しい方はこちらをご覧ください。
- 悪質なクレーマー被害遭ったら、基本は110番通報。
客商売としてはつらい所ですが、クレーマー被害の多くは収まります。 - 警察通報で収まらない相手や、
威力業務妨害スレスレのアプローチをしてくる相手は、
プロの可能性があり一筋縄ではいかない。
この場合は一般人では対抗が難しいので、
法的(弁護士による)対抗を行う。
ほとんどのクレーマーが撤収します。
法テラスホームページ - 大変稀ですが、上記の対策を取ってもなお危険な相手が存在します。
この場合普通の相手ではありません。
物理的な攻撃を防ぐために、ボディガード専門の警備会社に見積もりを請求してください。
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加藤一統 一般社団法人暴犯被害相談センター 代表理事
民間警備会社で1995年より身辺警備(ボディガード)に従事し業界歴25年
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