【ボディガードの会社】ストーカー・DV|接近禁止令の効果と申告すべきか?の判断
この記事の著者:一般社団法人 暴犯被害相談センター
代表理事 加藤一統 (ボディガード歴25年)
「ストーカー規制法」「DV防止法」は、つきまといの抑止に一定の効果が期待できます。
ただし、相手のストーカーが「警察沙汰や前科は避けたい」と考える、「常識的な人間」であればです。
もしも「刑務所?前科?オレには関係ない!」という輩の場合、法的なアプローチが逆効果になる可能性があります。
結論から言うと、そういう輩を相手に、一人で挑んでは絶対になりません。
信頼できる方に同伴してもらい、専門家に相談してください。
「ストーカー規制法」や「DV防止法」の有効性は「相手がどんな人間か?」にかかってます。
相手の性格を、あらためて考える必要があります。
1.ストーカー規制法の効果
ストーカーにも色々なタイプがいます。
相手により対応方法も変わるので「正解」はありません。
したがって最初に行うことは「相手のタイプ」の見極めになります。
1-1 相手はどのタイプ
DV防止法・ストーカー規制法による罰則は、最大で「罰金200万円」もしくは「6か月」の懲役です。
普通の感覚であれば200万円は大金ですし、前科も持ちたくないはずです。
つまりペナルティの重さを考えれば、攻撃を実行するのはごく少数。
つまり、ほとんどの相手には効果があると言えます。
しかし問題は、逮捕や社会的制裁をダメージと思わない人間。
前者は、自身の社会的地位を放棄できない正常な感覚の持ち主であり、そもそも危険ではない事が多いといえます。
逆に「懲役なんかクソくらえ!」の無軌道な輩のばあい、刑罰が抑止になるどころか、逆上のきっかけになる恐れがあります。
法律を否定しているわけではありません。
問題なのは、使いどころを誤ると、火に油を注ぐ結果になる点です。
単なるしつこい男があたえるストレスも、当事者には我慢ならないでしょう。
その場合は、ストーカー規正法が解決におおきく貢献することもあります。
1-2 DV法・ストーカー規正法が効く相手と注意点
相手が暴力を実行するか?の可能性を知るには、以前の記事相手の行動を予測する11+5チェックリストが役に立ちます。
まずはそちらでご自身の置かれた状況・相手のタイプをチェックしてください。
その上で特に攻撃の恐れが無いようでしたら、以降はお読みいただかないでも大丈夫です。
警察への相談を匂わす事で解決するケースが多いですが、それでも嫌がらせをやめない場合は、実際に相談・通報から始めましょう。
ただし一点だけ注意があります。
大人しいと思っていた相手が、些細なきっかけで豹変するケースを、過去に何度も目撃しました。
説得の際は、相手のプライドを傷つけない注意が必要です。
また「暴力そのものが目的」のストーカーは、滅多にいません。
叶わない要求と、溜まったフラストレーションの結果、最終的な手段として、暴力を選ぶのです。
その原因の一つに、友人や知人の「そそのかし」があります。
もともと本人にその気が無かったのに、周囲に煽られてその気になってしまうケースです。
桶川ストーカー殺人では、実行犯以外の、見張りや運転役にも懲役15年の判決が下りました。
しかし後先を考えずに、悪事に加担する愚か者は、減っていません。
ストーカー当人だけでなく、交友関係(友人の性格)も、相手の出方を予測する重要な材料です。
人間の行動は、所属する集団のカラーの影響を大きく受けます。
相手の交友関係は、行動予測の重要な材料になります。
1-3 DV法・ストーカー規正法の効果がない相手
チェックリストで危険と判断した場合、DV・ストーカー法の申し立てをするべきか?これについててみ検証してみます。
相手にとって、あなたの存在は「どれくらいの重さか?」想像してみましょう。
人にとって、過度な人間関係(わずらわしさ)はストレスになります。
逆に、人間関係の希薄さ(ふれあいの少なさ)も、大変な不安とストレスの材料です。
ストーカー化の原因の一つ「人間関係の不足」は、相手の行動を予想する上で、無視できません。
失業中や、重要なルーティンが欠落した人間は、ネガティブ思考に引っ張られやすい傾向があります。
現在の相手の生活(精神状態)が「ポジティブorネガティブ」は、ストーカー規制法やDV防止法の申し立てを、するべきか?否か?の重大な判断在材料です。
社会的地位と恋愛のパートナー、この2つの喪失は、人にとって大きな衝撃であり、それにより自暴自棄になる事は珍しくありません。
このような相手の場合、ひとりでの解決は難しいので、専門家に相談しましょう。おすすめします
専門家とは、警察・弁護士のほか、我々ボディガード専会社ですが、ご相談はなるべく家族や友人の同伴をおすすめします。
安心なだけでなく、自分では気づいていない点に、周りが気づいている事もあります。
また相談だけであれば、費用も無料か少額です。(相談先にご確認ください)
また警察に相談する際は、一つ注意があります。
もし申し立てを勧められても、ご自分が納得できない限りは絶対にしないでください。
これまで説明したように、申し立てが抑止になるかは、相手次第です。
この判断は、相手を見ていない人間には出来ません。
相談は大事ですが、自身の感性を信じるとも大事です。
納得できる説明がないかぎり、当事者である あなたの「勘」を信用するべきです。
(場合によっては命にかかわる判断です。慎重におこないましょう。)
2.【ストーカー規制法・DV防止法】ザックリとまとめ
ストーカー規制法・DV防止法の概要をまとめました。
警察への相談は最寄りの警察署か、警視庁に電話してください。
「警視庁生活安全総務課 ストーカー対策室」 03-3581-4321(代表)
法的な相談は「法テラス DV等被害者法律相談援助制度」 0570-078374(代表)
2-1【参考】警察介入の効果を検証した【ミネアポリス実験】
以下は1984年にアメリカで行われた実験の概要です。
DVに対する警察の積極的介入が、ストーカー行為にどう影響するのか?の検証がミネアポリスで行われた。
「逮捕・仲裁・引き離し」による再犯防止効果を比較した結果、
逮捕は他に比べて2倍の抑止効果があると結論付けられた。
それまでは日本でいうところの「民事不介入」により、令状無しでの逮捕は許されなかったが、この実験が理由の一つとなり、DVに対する逮捕権限が拡大した。
一方、1985-1990年にミネアポリス実験の裏付けが6つの都市で行われたが、結果は予想に反し様々だった。
1992年におこなわれたミルウォーキー実験では、
「長時間逮捕・短時間逮捕・警告のみ」の再犯抑止効果を比較したが、結果は以下の通り。
- 6カ月以内では逮捕は警告よりも効果あり
- 失業中のアフリカ系アメリカ人は11-18カ月の期間に再犯が増した。
- 失業者・貧困グループでは抑止効果が低い。
この結果、警察の介入が最良とは言えない事が分かった。
参考資料:
ドメスティック・バイオレンスとジェンダ- 適正手続と被害者保護 [ 吉川真美子 ]
ここで分かる事は「暴力を振るうか否かは、配偶者・ストーカーによる」という、いわば当たり前のことです。
重要なのは、自分の配偶者やストーカーに、法的処罰は有効か?否か?の見極めになります。
2-2 ストーカー規制法の概要
ストーカー規制法の対象となる行為は「つきまとい等」「ストーカー行為」の二つであり、
「ストーカー行為」とは同じ相手に対し「つきまとい等」を繰り返すことを指します。
つきまとい等の定義
- 待ち伏せする。
- 道路等に立ちふさがる。
- 見張りをする。
- 自宅・職場・学校等に押し掛ける。
- 付近をみだりにうろつく。
- 監視していると告げる行為
- 面会や交際の要求
- 乱暴な言動
- 無言電話・拒否後の連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNS等
- 汚物等の送付
- 性的しゅう恥心の侵害
ご覧のように多くの被害が網羅されており、
基本的にあなたが不快と感じる行為のほとんどは、この法律に抵触すると思います。
罰則
- ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
- 禁止命令等に違反してストーカー行為をした者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金
- 禁止命令等に違反した者は、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金
2-3 DV防止法の概要
DV防止法とは、配偶者による暴力防止と、被害者の保護を図ることを目的として、
相談、保護、自立支援、保護命令等をおこなっています。
ちなみにこの法律における「配偶者」には事実婚の方も含まれます。
暴力とは、身体に対してはもちろん、言動も指しますが、
そのうち、保護命令の対象となる暴力は、身体に対する暴力と脅迫(殺してやる・ぶん殴る等の言動)となります。
また、警察による援助の対象は、身体に対する暴力に限られています。
ただし、脅迫を受けた方も保護命令(※)の申し立てが可能な事を踏まえ、言葉の暴力にも警察が事実上援助をおこないます。
※裁判所が加害者に対しておこなう命令事項
保護命令の種類
- 接近禁止命令
6ヶ月間、被害者へのつきまとい、住居(同居する住居は除く。)や勤務先等の付近の徘徊を禁止。 - 退去命令
同居している場合、2ヶ月間 加害者が住居から出て行くことを命じ、住居付近の接近・徘徊を禁止。 - 子への接近禁止命令
6ヶ月間、被害者と同居している子の身辺につきまとい、住居や学校等の付近の徘徊を禁止。 - 親族等への接近禁止命令
6ヶ月間、被害者の親族等の身辺につきまとい、住居や勤務先等の付近の徘徊を禁止。 - 電話等禁止命令
6ヶ月間、被害者に対する電話・ファックス・メールなどの行為を禁止。
罰則
上記保護命令に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
ストーカー改訂 被害に悩むあなたにできることーリスクと法的対処ー [ 長谷川京子 ]
ボデタンナビの運営者
加藤一統 一般社団法人暴犯被害相談センター 代表理事
民間警備会社で1995年より身辺警備(ボディガード)に従事し業界歴25年
ボディガードと探偵の依頼先をお探しの方に、条件やご要望に合う優良な警備・探偵会社を無料でご紹介。
長い業界歴を生かし「読みやすく価値ある」記事を提供いたします。
お気軽にお問い合わせください。042-813-1957受付時間 9:00-19:00 [ 365日 ]
お問い合わせ