【ボディガードの会社】ストーカー・DV被害|身辺警護があなたを守ります
この記事の著者:一般社団法人 暴犯被害相談センター
代表理事 加藤一統 (ボディガード歴25年)
前回【ストーカー被害|対策】相手の行動を予測する11+5チェックリストで、自分のパートナーが、ストーカーに変化する可能性を、チェックする方法を話しました。
もしも、元パートナーがストーカーとなり、ボディガードに警護を依頼した場合、具体的には何をするのか?
その内容と方法を説明します。
凶悪なストーカーの被害に遭うケースは非常に稀です。
過剰な恐れは、むしろ相手に付込むスキを、与えることもあります。
相手に不安を悟られても、あなたにメリットはありません。
むしろ状況を不利にします。
しかし、ご存知のように、過去には凶悪事件に発展した例もあり、油断は絶対に禁物です!
「もういい加減あいつから解放されたい・・・」
そんな方にとって、平穏な日常を取り戻すための参考になれば幸いです。
1,ストーカーとの話し合いは、時間の無駄です
ストーカー相手に、話し合いや交渉は一切不要です。
むしろ、会うことも、話をすることも、出来るかぎり避けましょう。
「一度でいいから会ってくれ!としつこく言われ、仕方ないから会う事にしました。」
このような話を本当によく聞きます。
つい断れずにOKしてしまうお気持ちも、分かるのです。
では、なぜ 彼は 「一度だけ」会いたいのでしょうか?
「最後に本当の理由(ふられた)を知りたいから」
「最後に一度だけ顔がみたい(そうしたら忘れるから)」
大体そんな口実ではありませんか?
残念ながら、その約束は一切アテになりません。
ストーカーの感情はヤカンのお湯のようなものです。
火を消さない限り冷めません。
もう一度会う(話す)とは、冷ましている最中のヤカンを、再び火にかけるのと同じ行為です。
これはストーカーに限らず、しつこい相手との人間関係を断ち切る時に、決してやってはいけない行動です。
「話し合いとは、交渉の余地がある時にのみ、意味をもちます」
さらに加えると、一方的に押し付けられた約束は、守られる可能性が極めて低い、と考えましょう。
そもそも、あなたが何かを約束をする筋合いも無いわけです。
少なくとも、あなたがストーカーと話をしたり約束をする、意味やメリットは全くないのでは?
しかし現実には、ストーカーと会わざるをえない「事情」が、しばしば起こります。
2,絶対ストーカーと会ってはいけません!しかし・・・
「ストーカーと会わなければならない事情」とは、相手に押し切られて、つい会う約束してしまった時です。
当団体に相談をいただいた方には、理由はどうであれストーカーとの接触はおすすめしません。
ストーカーにも人それぞれ性格があるので「こういう時=こうする」といった型どおりのマニュアルはありません。
ただし一つ言えることは、「しつこい相手と何度も会う =問題が長期化する」という事です。
コンタクトを続けると、関係を断ち切ることが難しくなります。
つまり直接会って話しても、あなたにとって「建設的な内容や結果にはならない」と考えるべきです。
しかし「すでに会う約束してしまったので、その場に立ち会って欲しい」というご相談が多く寄せられます。
くどいようですが、あなたがストーカーと話すことなど今更ありません。
話がしたいのは相手だけです。
10回断るということは9回無駄な話をしていることになります。
でも「会いたくないけれど約束したので、行かないと何をされるかわからない」
このような場合、スッポかすわけにもいかないので、ハッキリと別れを告げる「最後の機会」にしましょう。
ただし、一対一でストーカーと会うのは危険ですし、相手のペースで終わるケースがほとんどです。
その場合、あなたには損しか残りません。
それを防ぐためにも、ボディガード(身辺警備)が必要になります。
3,ボディガードに依頼をしたら何をしてくれるの?
ストーカーと一対一で会うことは絶対にやめましょう。
危険なだけではありません。大抵の場合、恐怖で言いたいことが言えなくなります。
ストーカーとの話し合いに、ボディガードが介入する主なメリットは下記の2点。
- 万一相手が激高し、攻撃をしかけてきても阻止できる。
- 安心感で気おくれしないため、一対一の時よりもハッキリと言うべきことが言える
ボディガードを入れない場合でも、信頼出来る第三者に、立ち会いをお願いするべきです。
3-1 対ストーカー警備のおこない方
ストーカーとの話し合いは、通常喫茶店やホテルのロビーなど公衆の場でおこないます。
密室や完全なプライベート空間よりも、暴力への抑止効果が期待できるためです。
また多くの場合、ボディガードは同席せずに、ご依頼者の直近の席で、無関係の他人を装います。
これは3つのデメリットを回避するためです。
- ストーカーは心理的に、他の男の同席を「侮辱」ととらえることが多い。
多くのストーカーは、見ず知らずの男に警戒心と嫉妬心をいだく。 - 「彼」ではなく「ボディガード」と告げたとしても、こちらの怯え・警戒を悟られる。
怯えを見せると、相手を優位に立たせてしまう。 - ボディガードの存在を、ストーカーが威嚇ととらえる可能性がある。
「屈強な男が付いていることを見せて、威嚇した方が良いのでは?」と考える方もいますが、全く逆です。
暴力というのは、一種の相互作用です。
威嚇的な行動は、相手にとっては挑発に映ることがあり、感情的にします。
相手が「威嚇=バカにされた」と感じる可能性があるので、避けましょう。
これらを守り、下のような位置関係でガードを行います。
例:ストーカーとの話し合い時の警備配置
①にボディガードを配置し、危険な場合はいつでもストーカーを取り押さえられるようにする。
(相手にはボディガード存在が気づかれず、依頼人にはボディガードの様子が確認できる、理想的なポジション)
さらに危険度が高く、2名のボディガードが必要な場合は②にも配置します。
話し合い終了後は、ご自宅までの帰路に同行します。
3-2 ストーカーとの話し合い、その後
この後も継続してボディガードを依頼すると、1日当たりの料金が3~6万円かかります。
もちろん毎日ガードを続ければ安全ですが、コストを考えると現実的とは言えません。
弊センターでは、その後もストーカーからの接触が続く場合は、内容や言動の記録を取り続ける事をお願いしています。
結果的には、最後の話し合いを最後に、ストーキングが収まるケースが多く、ほとんどの方がボディガードの継続を必要としていません。
終息までの期間は様々ですが、多くの事例では3~6か月で終息し、元の生活を取り戻しています。
もちろん、その後も危険が続くケースがありますので、油断はできません。
しかしストーカーが攻撃を仕掛ける前は、必ず前兆があります。
前兆を見逃さず、適切なタイミングにのみ、ボディガードを配置すると、警備コストを大幅に削減できます。
例えば、明らかに危険の兆候がある場合は、ホテルや実家などへの避難も現実的です。
避難が完了するまでの数日間、出勤と帰宅の間のボディガード行う、というように、ピンポイントで警備を利用すれば、料金も高額にはなりません。
4,ストーカーからの攻撃の前兆
一言でストーカーと言っても三者三様で、どんな行動に出るかは断言できません。
しかし前項でも述べたように、襲撃には前兆があります。
それに気づくためには「目を凝らし」「耳を澄ます」必要があるのです。
直感といっても難しいことではありません。
あなたが感じた「恐怖」「不安」「違和感」などを、無視しなければよいのです。
まずは自分の「感覚」を、決して無視しないでください。
多くの人は余程の確信がないと、日常のわずかな違和感をスルーしがちです。
ちなみに前兆や直感とは、下記のように些細で普通なことを指します。
- ストーカーからの留守電や・メールの内容・声のトーンが今までと変わる。
- ストーカーからの留守電やメール(ライン)が来なくなる、又は少なくなる。
- 今夜は近所の犬が良く吠える。
- 出かけるとき閉めたはずの門扉が開いていた。
など挙げるとキリがありませんが、共通して言えることは「急な〇〇〇」と「いつもと違う〇〇〇」です。
しつこかったラインが来なくなったら安心しますよね?
しかし彼は諦めたのでしょうか?
ハッキリと言えるのはストーカーの気持ちに「何かしら変化がおこった」という事です。
なぜ人は脅すのでしょう?
脅し自体には物理的な力がありません。
脅し使う理由は「不安と恐怖を与えたいから」です。
相手が脅しの効果を「実感」しているうちは、ある意味安全といえます。
脅しがなくなった場合は「危険が去った」と考えずに、今まで以上に警戒するべきです。
5,ストーカー対応の注意点【言ってはならない事・言うべき事】
しつこい相手への対応で、下記のアドバイスを聞いたことありませんか?
「ストーカーに対してはハッキリと断りましょう!」
正解ですが、補足が必要になります。
「ハッキリ」の反意語は「あいまい」です。
「はげしい」や「ののしり」は
「ハッキリ」とは違う意味になります。
「生理的に無理!」などとは言わないでしょうが、相手の自尊心を傷つけない様に、注意が必要です。
必要なのは、「敵対的」な態度ではなく「毅然」とした態度です。
日本には、ハッキリ物を言う女性を「可愛くない」「キツイ」と論じる風潮が残っています。
それによって、過去に損をした方も多いのではないでしょうか。
しかし恋愛においては、相手が解釈を間違えようのない言い方を選ぶべきです。
それによって、相手がストーカー化するのを防げることもあります。
また大抵の男はそんなことで頭に血が上ったりしません。
真意を察します。
意思表示に不要な「枕ことば」は外しましょう。
例えば「今は○○○」「うれしいけど○○○」「残念だけど○○○」
このようにクッションが入ると、ストーカーは拒絶されていることに気付きません。
更に告白された時やデートに誘われた時の「私にはもったいないから」「時間が出来たら連絡します」「今は体調が悪くて」も同じです。
付き合えない理由や条件を付けると、ストーカー気質の男は「それさえ乗り越えれば」と勘違いします。
彼らは、あなたが「キモイ」思っている行動を「カッコイイ」と思っているかもしれません。
一番良いのは「無表情で」「理由は言わず」「言い訳はしない」これが理想ですが、さじ加減がむずかしいのも事実ですね。
皆さん恨まれることを恐れるあまりに「枕ことば」を付けがちですが、相手の人格を否定しない限り問題はありません。
多くのストーカーは「プライドが高く繊細、だけど鈍感」です。
話し合いの前は、断り文句を原稿におこし、友達などと一緒に内容を推敲することをお勧めします。
6,最後に【ストーカーや配偶者の暴力被害にあわないためには】
精神科の看護士さん向けの書籍「医療職のための包括的暴力防止プログラム(医学書院)」の中に、
どんなスタッフが攻撃されやすいか?についての解説があります。
精神病棟の看護師さんが、患者さんからの受傷をさけるための本ですが、対ストーカーの参考にもなりますので、一部抜粋します。
以下の対応をとると暴力の対象と判断されることが多い
・患者の攻撃性におびえてしまう人
・患者のパーソナルスペースに不用意に侵入してしまう人
・相手のプライドを傷つけたり、こちらが攻撃性をしめした場合
暴力を振るう者は、無差別に襲うのではなく相手を選んでいます。
つまり「コイツなら殴って言いなりにできる」「コイツなら何を言っても反撃されない。」と知らぬ間に面接し、ターゲットを選ぶ傾向があります。
この面接に合格してはいけません。毅然とした態度を見せることが重要です。
また今回はスペースの都合で、「ストーカー規制法」「配偶者暴力防止法(DV防止法)」による、禁止命令や保護命令には触れませんでした。
これらの制度は万能ではなく、ケースによっては申し立てた事で、逆に事態が悪化する恐れがあります。
申し立てをするか否かの判断は、それによって相手が、「大人しくなるのか?」or「逆上するかもしれないか?」
この点を、周囲の意見だけでなく、あなた自身がよく考えた上で決定してください。
詳細はいずれ別の記事で説明します。
ボデタンナビの運営者
加藤一統 一般社団法人暴犯被害相談センター 代表理事
民間警備会社で1995年より身辺警備(ボディガード)に従事し業界歴25年
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