【ボディガードの会社】身辺警護を兼ねた運転手|セキュリティドライバーのコスト
この記事の著者:一般社団法人 暴犯被害相談センター
代表理事 加藤一統 (ボディガード歴25年)
セキュリティドライバー・警護運転手など、様々な呼ばれ方をしますが、運転手を兼ねた、ボディガードについて解説します。
- ハイヤー等の職業運転手に比べ、運転技術はどうなのか?
- 一般的な業者の場合、コストはどれくらいかかるのか?
- 普通の運転手と比較した場合のメリットは?
など、中々表に出ていないボディガード兼運転手の内容と、導入のメリットをご紹介します。
以降本ブログでは「警護運転手」の呼称で統一します。
1.警護運転手の特徴
警護運転手は、個人の方からのご依頼は、ほとんどありません。
「専属運転手」と「身辺警護」という、非日常的なサービスの組み合わせなので、コストもそれなりに発生します。
一般の方からのご依頼は、特別なご事情や短時間のご利用を除き、皆無に等しい警備です。
しかし日常的に、自動車での移動がメインであり、運転手の存在が不可欠な法人の役員様などには、大きなメリットがあります。
1-1 警護運転手に可能なサービス(秘書も兼任出来る?)
警護運転手がおこなうサービスに線引きは無く、対応可能な内容であれば、多くの会社がリクエストにお応えしています。
よくいただくご質問の一つに「秘書業務の兼務は可能か?」があります。
これは求められる業務の難易度と、ボリューム次第です。
運転手という「業務の性質上、クライアント様の行動予定の把握は必須です。
そのため必然的に、スケジュールは把握する必要があります。
それに付随して、行動・面談・面会の内容も知り得る機会が多くなりますが、プロの秘書ではございません。
実際にこなせる業務には限界があります。
またクライアント様が、どこまでお仕事やプライベートへの介入を許すのか?
お客様のご事情によって、業務の範囲を協議させていただいております。
ただし一般的に、秘書業務は専任秘の方がおこない、警護運転手は、スケジュール管理までに留めておく事がほとんどです。
1-2 警護運転手の運転スキル
ボディガードとしての基本的な技能は当然あるものとして、ここでは運転スキルに関してご説明します。
個々の警護運転手によって差はありますが、基本的にボディガードは運転が上手い者が多いです。
また運転が未熟な人間が派遣される事はあり得ません。
もちろんこれは「ドリフト」や「ヒール&トゥー」のような、いわゆる「ドラテク」の話でありません。
純粋に、同乗者が快適と感じる運転ができるという事です。
もちろん高度なレーシングドライブが出来る者もいますが、ハッキリ言って、日本でエマージェンシードライビングは必要ありません
中近東・ヨーロッパ・アフリカ以外では、セールスポイントにならないでしょう。
本業のベテラン運転手さんと比べると、頭に入っているルートの数など及ばない点もありますが、こと運転において、不満をお感じになる事は無いはずです。
1-3 誰の車を使う?
特別なご要望が無い限り、お車はご依頼者様サイドでご用意いただきます。
警備会社が車を用意する場合、事業用登録車両(緑ナンバー車)が必要です。
白ナンバーの車の使った場合、所謂「白タク」に当たるため、道路交通法違法(道路運送法第4条)になります。
中には緑ナンバーの車を用意している警備会社もありますので、ご希望があればお車自体の用意も可能です。
しかし自社車両を揃えてる業者は決して多くありません。
ただ警護運転手の場合、ご依頼者様サイドで自社の車両をお持ちのケースが多く、車両費などコストの上昇を抑えるためにも、お客様自身のお車を使うケースが8割以上です。
またその場合は、万一の事故に備えて保険内容の確認や変更をお願いしております。
※警備会社が車を用意した場合、お車代だけで1日=3~5万円程発生します。(車種による)
2.警護運転手のコスパ
警護運転手の料金は、一般の専属運転手と比較して、2~5割増しになります。
身辺警備を必要としていない方には、お勧めできるサービスではありません。
しかし警護と運転手の両方を必要とされている方には最適です。
2-1 警護運転手の事例【こんなご依頼もあります】
長期間の契約に多いケース
もしも現在脅迫を受けていて、24時間体制などの厳重な警戒が必要な方に対しては、セキュリティドライバーだけでは不十分です。
警護運転手は、基本的にクライアント様に対して、マンツーマンのため、移動先での車の管理も同時に行わなければなりません。
例えば目的地付近に都合のよい駐車場があるとは限りませんので、駐車のわずかな時間ですが、クライアント様から離れることがあります。(都内では頻繁に起きます)
クルマの乗降時は、警護のウィークポイントであり、その間隙を突かれた場合、1名での護衛は不可能です。
また警戒相手(襲撃者)がアマチュアでない場合は、それこそ狙われやすい瞬間です。
よって危険度の高い警護の場合は、最低でもプラス1名の護衛が必要になります。
警護運転手の主な顧客は、現在具体的な脅迫は受けておらず、ただしマスコミへの露出が多いなどの理由で、不特定多数の危険が想定される方になります。
短期間契約の場合
これまでは企業の役員・経営者様のご依頼を前提にお話ししましたが、警護運転手は短時間のご依頼でも対応が可能です。
例えば以下のような場合にご利用いただく事もございます。
- ストーカー等相手の出方が想定できない相手と面会時の送り迎え
- イベントやパーティのゲストの送迎
- 貴重品・重要書類を持って移動する方の送迎
この場合も警護の内容は全く同じですが、短時間の契約になるので料金は格安になります。
むしろ短時間の警護運転手は、かなり需要の多いご依頼内容です。
2-2 警護運転手の料金月額
セキュリティドライバーは長期間の契約になる事が多いので、かなりのランニングコストが発生します。
そのためご依頼主の大半は法人様です。
平均的な業者の場合、時間単価×稼働時間で見積もりをおこないます。
「1日の勤務時間 × 月間稼働日数」が月額です。
今回は最も平均的な、下記スケジュールのご依頼を例にしました。
内容:朝ご自宅にお迎え ~ 夜のご帰宅まで
時間07:30 ~ 18:30 ご帰宅(11時間)
月額:1,100,000円~1,600,000円
※土日祝休み(月間平均20日勤務)
この場合の料金はおそらく140万円前後です。(請負業者によります)
下記は短時間の送迎の一例です。
内容:重要書類をお持ちの方を空港まで送り届け
(都内~成田空港)
時間10:00~13:00
1日:30,000円~45,000円(税・経費込)
※短時間の場合、ほとんどの警備会社が最低料金を設けています。
(例:稼働時間は2時間でも料金は4時間分など)
2-3 【結論】警護運転手と普通の運転手どちらがお得でしょう?
ご覧いただいたように、警護運転手の料金は日常的とは言えないため、一般の方からの常駐派遣のご依頼はほとんどありません。
しかし日常的に運転手をご利用されている方にとっては、比較検討するべきサービスであり、普通にドライバーを雇うよりも、お得なケースも多くございます。
警護運転手の料金は、一般の運転手の1.2~1.5倍程になります。
この差を高いとみるか安いとみるかは、お客様の状況次第です。
警護運転手のユーザー層は、犯罪のターゲットに選ばれる可能性が高く、犯罪の抑止や防止の観点で考えると、有用性は間違いなく高いと言えます。
現在ご利用中のドライバーに不満が無く、特に日常的な危険もお感じでない方にはお勧めする理由がありません。
ただし今後専属運転手を導入、または切り替えのご予定がある企業様は、ご検討材料の一つになる事でしょう。
コスト的に問題が無ければ、警護運転手を選ばない理由はありません。
ボデタンナビの運営者
加藤一統 一般社団法人暴犯被害相談センター 代表理事
民間警備会社で1995年より身辺警備(ボディガード)に従事し業界歴25年
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