自分を守れる子になる|身辺警護による【子どもに伝えるべき2つの防犯ルール】

この記事の著者:一般社団法人 暴犯被害相談センター
代表理事 加藤一統 (ボディガード歴26年)

ファミリーとビジネスマン後ろ姿

子どもの習い事として、空手やキックボクシングなどの格闘技が流行っています。
武術から学ぶべき教訓はたくさんあるので、多くのお子さんのチャレンジは、とても喜ばしいことです。
ただし格闘技を習ったからといって、子供に犯罪者(大人)の撃退は、絶対にできません。
犯罪の被害者にならないためには、護身術で抵抗するよりも、犯罪者を遠ざける方法を知るほうが、はるかに簡単で近道です。

1.犯罪者に遭わない確実な方法【犯行現場の特徴】

一言で犯罪といっても「殺人・暴行・誘拐・通り魔・・・・」など、多くの種類があります。
それらの対処方法を、すべて頭に入れることは、現実的ではありません。
私がお子さんに防犯指導をする際は、ほとんどの犯罪に共通する「2つのポイント」に要点を絞っています。

 1-1 「不審者ってどんなひと?」この質問に答えられますか?

不審者のイラスト

上のイラスト何だと思いますか?
そう不審者です。
当然ですが、これは不審者のイメージで、いわばアイコンです。(コロナ以降はマスクのおかげで、逆に増えたかもしれませんが・・・)
しかしこれを「悪い人の姿」と思っている子供が少なくないそうです。
なにより怖いのは「この格好以外の人は大丈夫」と思い込むこと。

昔から「あやしい人に気をつけよう」という言葉を耳にします。
たしかに、誰が犯罪者か?を、見分ける事ができれば、被害に遭う可能性は減るでしょう。
ただし問題は、いわゆる「不審者」には、外見的な目印がないという事です。

多くの人は、見た目やファッションが奇抜な人、または見慣れない人物を不審者と判断します。
しかしそれが、的外れだったご経験ありませんか?
多くの場合、それらは先入観による偏見だからです。

不審者を見抜く力は、訓練で精度があがります。
熟練の保安警備員(万引きGメン)が、店に入った途端に万引犯を当てるように、犯罪者を見分けることは可能です。
ただしそれは、一種の専門技能です。
つまり子供はもちろん、大人でも簡単には身に付きません。
よって「不審者に気をつけよう」という大雑把な指導は、無意味なだけでなく、外国人や少数派の趣味の人、または特定の病気の方への偏見につながる恐れがあります。
不審者の判断は、子供にさせてはならないのです。

もしも「連れ去りでは?」と疑われる場面では、近くにいる大人が、子供を守る砦になります。
社会に「知らない大人は不審者と思え」という風潮が蔓延すると、善意の行動をする人が減り、むしろマイナスの効果になりかねません。
大人であれば、主観や偏見で相手を判断せざるを得ない事もあるでしょう。
しかし、自分の主観を子供に教えるのはNGです。
人から押し付けられた主観は、単なる偏見です。防犯の役には立ちません。
見知らぬ相手への警戒は必要ですが、子どもが判断できない「不審者」への注意喚起は、無責任といえます。

 1-2 犯罪に向いている場所【その1】

防犯指導は、子どもが理解できる内容を、具体的に教えなければ意味がありません。
その一つが「犯罪が起こりやすい場所」の見分け方です。
犯罪者を見分けることは出来ませんが、犯罪が起きやすい場所には、子どもにも分かる特徴があります。

下の2枚の写真をご覧ください。

もしもポイ捨てをする場合、どちらの場所の方が抵抗を感じにくいですか?
多くの人が、右の汚い場所を選ぶと思います。
では綺麗な場所と、汚い場所の違いはどこにあるのでしょう。

花壇など、丁寧に造成された場所の周りには、人が集まります。
また綺麗に手入れがされていると「そこを管理する誰かがいる」という、人の存在のアピールにも繋がります。
逆に多くの人は、用がないかぎり、わざわざ汚い場所に近づきません。
またほとんどの場合、そこで人はの気配も感じないでしょう。
つまり綺麗な場所での犯行は、人に見られる危険があり、反対に汚い場所は、誰にも見られない可能性が高くなります。
犯罪者にとって目撃者の有無は、犯行現場を選ぶ上での、もっとも重要なポイントです。

以下の例は、分かりやすい危険多発場所のサインです。
(この項目上段の、4分割の写真ご参照ください)

  • 落書きが多い壁
  • ポイ捨てが多い裏道
  • 粗大ごみなど不法投棄が多い空き地
  • 掃除がされていない公衆便所

ちなみに、社会学者で立正大学教授の小宮信夫先生の著書に「犯罪者は花を嫌う」という記述があります。
つまり花には、犯罪者を遠ざける効果が期待できるということです。
地域の犯罪を抑制するには、花壇を造園するのもアリでしょう。

 1-3 犯罪に向いている場所【その2】

通り魔のように、凶行のアピールと、逮捕されること自体が目的の犯罪者もいます。
しかし多くの犯罪者にとって、人の目が届かない空間こそ、犯行に最適な場所といえます。
もちろん、その空間は密室とはかぎりません。

  • 樹木や壁など遮蔽物で中が見えにくい公園
  • 近くに民家(人目)がない農道
  • 人通りの少ないトンネル

これらの場所(上の写真も参照)は犯罪者の感覚的に、隔離された空間と言えます。

さらに付け加えると、インターネットも、人の目が届かない場所に含まれます。
SNSは可能性のあるツールです。
奇跡のような出会いが、現実に起こります。
しかし、恐ろしい出会いが隠れているのも事実。
そこでのやり取りは、誰にも邪魔されない反面、犯罪に巻き込まれた場合、周りが気付いたときは、手遅れの可能性が高いのです。
「最寄りの駅名・家の近くにこんな店・いま停電中・外の工事がうるさい・・・」
こんな細切れ情報も、つなげれば住所を特定できます。

逆に大きなショッピングモールなど、人の目が多い場所も、安心ではありません。
他人への関心が薄れるため、一人ひとりの行動が目立たなくなるからです。
連れ去りが起きても、情報が集まらない可能性が高く、実際に目撃者がゼロの事案も発生しています。

人混みは、犯罪の獲物にえらびに恰好の場所です。
つまり実際の犯行以外は、人が多い場所のほうが都合が良いのです。
ただし、そこで犯罪者にアプローチされた場合、子ども自身に出来ることは、ほとんどありません。
責任は周囲の大人にかかっています。

防犯指導で考えるべきは「子どもに理解できるか?」と「実行できるか?」です。
まずは「きたない場所」と「人が見ていない場所」この2つを教えてください。
足を使って、生活圏にある危険な場所を、一緒に探してみると良いでしょう。

犯罪者を見分けるのは難しいですが、危険な場所なら教えることが出来るのです。

2.犯罪者に狙われやすい人の特徴

犯罪者に遭いやすい場所は分かりました。
しかし実際に生活をするのは、安全な場所ばかりではありません。
危険な場所も、避けてはいられないでしょう。
そのためにも、さらに危険を寄せ付けない工夫が必要になります。

 2-1 犯罪者に狙われやすい人の特徴

電車内で寝転ぶ中年男性

通り魔などの無差別犯が、決まっていう言葉があります。
それは「誰でもよかった」の一言。
しかしこれには「自分よりも弱そうな相手なら」という重要なキーワードが抜けています。

犯罪者のターゲット選びには、性別や年齢など、被害者の努力では変えようのない条件があるのも事実です。
どうしても「大きな人よりも小さな人・男性よりも女性・大人よりも子供」のほうが、暴力の被害に遭いやすくなります。
ただし誰であっても、今よりも狙われにくい人になることは十分可能です。
犯罪者が狙うのは「自分よりも弱そうな人」ですが、さらにその中から、より犯行が楽な相手を絞ります。
それは「隙の多い人」です。

犯罪者は挑戦者ではありません。すこしでも難易度の低い相手をターゲットに選びます。
残念ながら、そこにいる誰かしらは、狙われることになるでしょう。
しかし、その中で襲われにくい人間になる方法はあるのです。

例えば格闘技の経験がある人ならば、他人を助ける気概を持つべきだと思います。
しかし力の弱い方が、まず自分の身の安全を図るのは当然のことです。
余裕と力のない者による救護は、さらに被害を大きくする恐れがあります。
自分の事で手いっぱいの人は、自分のことだけを考えて構いません。

次は、実際に襲われにくくなる方法を説明します。

 2-2 襲われない人になる方法【なぜ歩きスマホはNGなのか?】

堤防でスマホゲーム

近年、スマホ持つお子さんがふえました。
通り魔が見た場合、スマホを見ながら歩く人と、前を向いて歩く人、どちらが襲いやすいでしょうか?
言うまでもありませんね。
不意打ちは、我々ボディガードでも、防ぐのが困難です。
ましてや下を向いてるときに襲われたら、防ぎようがありません。

暴力犯が狙うのは、自分よりも弱そうな相手ですが、その中でも隙だらけの人を好みます。
そもそも歩きスマホ(読書)は、その人の危機意識の低さを、如実に表すおこないです。
これほど分かりやすいサインを、犯罪者は見逃しません。

ちなみに、夜道の歩きスマホは特に危険です。
暗闇で明るい画面を凝視した瞳は、闇に慣れるまで時間がかかります。

また、周りに人がいないから歩きスマホをするのかもしれませんが、人がいないからNGなのです。
もしも襲われた場合、救護者どころか目撃者がいない可能性が高いでしょう。

歩きスマホの弊害を、護身的に考えると、行為そのものよりも、平然と歩きスマホを続ける意識にあると言えます。
逆に、歩きスマホの怖さを認識すると、危機感が生まれ、防犯意識全体が高まるきっかけになります。

ただし現代社会で「スマホを見るな」という指導は現実的ではありません。
電車に乗れば画面を見るでしょう。道に迷えばアプリを開くでしょう。
要はメリハリです。
見てはいけないタイミングと、場所さえ守れば問題ないのです。

スマホから目を離して、周りを見る回数が増えれば、そのぶん安全に直結するのです。

また歩きスマホをやめたら、前を向き意識的に胸を張ってください。
これには2つ大きな効果があります。

  1. 視界が広くなる
    死角を減らすことは護身の基本です。これだけで、周囲の異常を認知するスピードが大きく変わります。
  2. 狙われにくくなる
    動物の威嚇や擬態とおなじく、人間も胸をはった方が、大きく自信があるように映ります。つまり狙いずらい人に見えます。

上記は通り魔のように、前触れのない犯罪に遭遇した場合は、特に有効です。
逃げるか?戦うか?どちらを選ぶにしても、命運を分けるのはコンマ数秒の判断です。
結果は「どれだけ早く危険に気付けるか?」にかかっています。

 2-3 子どもに伝えるべき2つのルールの「まとめ」

広場でガッツポーズする子供シルエット

最後に今回のおさらいです。
子どもに対して、複雑で具体性に欠ける話をしても意味がありません。
理解しやすいポイントを、2つに絞りましょう。

ルール1:危険な場所には特徴がある

汚い場所・・・落書きが多い・ゴミが散乱している・粗大ごみなど不法投棄が多い・掃除がされていない公衆便所・など。

周りから見えにくい場所・・・樹木や壁で囲われた公園・人気のないトンネル・民家の少ない農道・SNS(インターネット)・など。

ルール2:歩きスマホ(読書)はダメ

理由①・・・犯人は、自分よりも弱そうな人の中から「隙の多い人」を狙います。歩きスマホとは、隙のアピール、犯罪者は見逃しません。

理由②・・・「歩きスマホは怖いこと」それに気づくと、意識全体が高まります。おのずと危険への感度が上がります。

理由③・・・歩きスマホをやめたら、意識的に胸を張りましょう。視界が広がり、危険に気付くのが早くなります。また、自分を大きく見せることで狙われにくくなります。


私の職業はボディガードですが、護身術だけで火の粉を払うことはできません。
護身術は、クルマで例えるとエアバッグ。
大事な装備ですが「エアバックあるから事故ってもいいや」と思う人はいないでしょう。
じつは防犯と護身において、一番早く効果が表れる方法は「悪い習慣を減らすこと」なのです。

危うきに近づかないのは当たり前。
そこから一歩進んで、危うきを近づけない意識と工夫が必要です。

加藤 一統

ボデタンナビの運営者
加藤一統 一般社団法人暴犯被害相談センター 代表理事
民間警備会社で1995年より身辺警備(ボディガード)に従事し業界歴25年
ボディガードと探偵の依頼先をお探しの方に、条件やご要望に合う優良な警備・探偵会社を無料でご紹介。
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