【ボディガードの会社】身辺警護が教える問題社員対策と11+5の暴力回避リスト!

この記事の著者:一般社団法人 暴犯被害相談センター
代表理事 加藤一統 (ボディガード歴25年)

解雇したい従業員がいるが、逆恨みがこわい人事担当者の方。
または、既にクビにした従業員と揉めていて、業務に支障が出ている経営者の方。

人間関係のトラブルは、 「なるべく早い対応」と「危険度の見極め」が重要なカギです。
この2つは、相手が「モンスター社員」でも「ストーカー」でも変わりがありません。

今回は危険度を計る「11+5」のチェックリストと解決方法を解説します。

1.対応の早さは、解決の速さ


対人トラブルで優先するべきは、あなた(御社)への恨みを成長させない事です。

逆の立場で考えてください。
彼が退職したつぎの日も、あなたには仕事があり、家族や同僚、友人など多くの人との関わりがありますよね?

一方クビになった社員はどうでしょう?

もちろん、その人によりますが、仕事という大きなルーティン、それに伴う人間関係、さらには自信まで失っている可能性があります。
つまり昨日までとは生活が一転しているはずです。

つまりネガティブな妄想にふける時間が山ほどあり、卵を温めるように、恨みを育てている可能性がいなめません。

日々成長する恨みを、少しでも早い段階で消滅、または軽減させることが理想であり、
もしもそれが無理な場合は、これ以上不満を大きくさせないようにすることが肝心です。

2.ボディガードの現場でも使われる、問題社員の危険度を見極めるチェックリスト11+5

では相手のパーソナリティーについて検証してみましょう。
もちろんクビにした社員の全員が危険な訳ではありません。
むしろ恨みの卵を持っていても、暴力に孵化させる人間は極まれです。

大切なのは相手の行為や感情が「今後エスカレートするか?否か?」この見極めです。

2-1 問題社員のパーソナリティーを掴むための11のリスト

「そもそもあいつ、どんな人間だったっけ?」
相手の性格を把握していますか?

まず解雇した相手の性格を、下のリストに照らし合わせてください。
(対象の人間性を知ることで、正確な行動予測ができます)

  1. 融通が利かず自分の非を認めない
  2. 助言を侮辱と捉え、合理性の低い仕事方法を変えない
  3. 自分の意見を否定されると激高する
  4. 同情や理解を示すと何かを約束したととらえる
  5. 報道された暴力事件の犯人や動機に理解を示す
  6. 「どうせ無理」などネガティブな発言が多い
  7. そもそも同僚から好かれていない
  8. 仕事にまじめ(能力は別として)
  9. 根拠もなく自身を過大評価している
  10. 自分の仕事以外にも口出しをする
  11. 解雇後も頻繁に元同僚に連絡してくる

上記は当団体が、
身辺警備をおこなう際に、用いているチェックリストをコンパクトにしたものです。

他に「前科の有無・交友関係・躁鬱傾向・前職の退職理由etc」ありますが、分かりやすい部分を抜き出しました。

恐らく5つ以上あてはまるのではないでしょうか?
ただし「何個当てはまったか?」の数は気にしないでください。
相手の人物像を具体的に、再認識できればOKです。

2-2 【重要】モンスター社員の行動を予測する5のリスト

さらに「相手の現状と心理」について、以下5項目をご覧いただき、当てはまるか確認してください。

  • 認識のずれ:客観的には解雇に相応の理由があるが、相手は不当解雇だと本気で思い、周囲にもアピールしている。
  • 家族:逮捕されても迷惑する身内が居ない。(家族の存在は犯行を思いとどめる理由になる)
  • 暴力性:そもそも暴力的で直情径行がある。または武器や軍事に関心が高くそれらに関する蒐集をしている。
  • 再就職:新しい仕事が見つかっていない。日々時間を浪費している。
  • 選択肢:既に裁判や話し合いなど合理的な選択肢がなく。自分の尊厳を取り戻す方法は残されて無いと思っている。

これらのリストは、10個のうち何個当てはまるから危険とか、5個中何個しか当てはまらないから可能性が低いという使い方ではありません。

お気づきの方もいると思いますが、
これらは特別な人間に当てはまるものではなく、誰が持っていてもおかしくない性質です。

確認していただきたいのは、リストと相手の現在状況を比較して、今後の危険を想像できるか出来ないか?
なるべく客観的に判断する事です。

当事者の感覚は。かなり信頼できる危険予測のセンサーです。
もしも危険が想像できない場合は、この記事を読む必要はありません。

2―3 ボディガードは、リストをこう使

この記事をご覧の方は、何らかの不安をお持ちで、直感的に危険をお感じだと思います。
このリストは、抽象的にしか表現できない不安を、具体的かつ客観的な言葉に変えるツール。
周りの人はもちろん、自分自身も、危険を論理的に理解することは大事です。

まずは先の11項目の中から、相手の性格に合致するものを抜き出し、具体的な言葉で表現してください。

例えば
1,融通が利かず自分の非を認めない
3,自分の意見を否定されると激高する
8,根拠もなく自身を過大評価している
10,解雇後も頻繁に元同僚に連絡してくる

  この4つに当てはまるとしたら、
解雇したA君は

1,同じミスを繰り返すが、注意をすると不貞腐れ

3,全く関係のない同僚や、社内的なシステムのせいにして声を荒げ

8,要領が悪いのに自分は仕事ができると本気で思い、同僚を見下していた。

10,辞めた後に、週2~3回のペースで同期だったB君に電話して「俺が辞めて皆困っている?」等、状況を聞いてくる。


このように説明すると、第三者が聞いても人間像がイメージしやすいです。

ではA君の場合、豹変しそうでしょうか?
もう少し注意して見てみましょう。

今度は5つのリストを使い、当てはまる項目の有無を確認します。

認識のずれ:自分は仕事が出来、会社側に見る目がないと思っている。

×家族:田舎に両親がいるらしいが、B君の話では失職を隠しているらしい。

暴力性:怒ると大声を出すが、会社で暴力を振るった事は無い。武器に対する興味は不明だが、アクション系のゲームは好きだったよう。

再就職:未だ決まっていない。

×選択肢:労働ユニオンへ不当解雇を訴える事を匂わしている。

次項では、上記を基に更に正確な危険度を分析します。

2-4 大事なポイント

具体的で客観的なイメージを作ることは、身を守るヒントになります。
リストはあくまでイメージを想起する道具。
当てはまる数の多い少ないは、何も保証はしていません。

ちなみに私が見たところ、A君は今のところ暴力に訴える気はなさそうです。

今回気になったのは「選択肢」
※この項目は特に注目ポイントです。

ほとんどの襲撃者は尊厳回復の最終手段として暴力を行使します。
逆に暴力以外に相手にダメージを与える手段がある場合、ほとんどの人間はそちらを選びます。

A君の場合ユニオンへの駆け込みを匂わしており、現段階で暴力を選ぶ可能性は低いです。

暴力は諸刃の剣であり、行使すればなんらかの代償(逮捕・服役・刑罰)を払う義務が生じます。
このことは、大抵相手も理解しています。

ただ相手が解雇を単なる失職ではなく「プライドを傷つけられた」と考えて
いる場合、過激な報復手段をとる可能性が高くなります。

「プライド」は対人トラブルにおいて最も厄介なポイントなのです。

もしも暴力の兆候が感じられない場合は、相手の問いかけに一切応じないでください。
トラブルとは一種の対話です。
こちらが相手の「問い」に応じ続けるかぎり、終わることはありません。

2-5 リストの信頼性と問題社員への効果

実はこのリストは弊センターのオリジナルではなく、
アメリカの高名なセキュリティー専門家、ギャビンディーベッカー氏の著書を参考にアレンジを加えたものです。
実際に昔から、身辺警備の現場で、
危機の管理と予測に絶大な効果を発揮しています。

※暴力から逃れるための15章:20年以上前の本だが、一冊でセキュリティーの本質が学べる良書。
近年「暴力を知らせる直感の力」というタイトルで、加筆再販されている。

暴力を知らせる直感の力 ──悲劇を回避する15の知恵 (フェニックスシリーズ)

ストーカーにせよ 元社員にせよ、しつこい人間はこちらがリアクション見せる限り、向こうからは終わらせてくれません。
また勢いが止まることはありません。

例えるなら慣性のみで走っている時速100キロの車です。
放っておけばいつか止まりますが、アクセルを足すと再び加速を始めます。

嫌がらせ受けている時は相手の動向が気になりますよね。
それに無視をすると相手が激高するのでは?と考えて ついついコンタクトに応じがちです。
しかしこれは、再びアクセルを入れるのと同じ行為。

もし相手が訴えるというならそうさせましょう。(少なくとも係争中は暴力に走る可能性が極めて低くなります)

あとは一切を弁護士に任せれば、あなたがやることは無くなります。
(懲戒解雇の方法など法的な相談は、社労士さんか弁護士さんへお願いします)

※もし危険の可能性を感じた場合同じく対話は一切避けたうえで、暴力的な攻撃に備えます。

3.もし危険と判断したら

前項でも触れたように、相手にとって自分の正当性をアピールする方法は「襲撃しか残されていない」と感じており、現在も新しい就職先が見つかっていない場合は赤信号です。

早急に警備会社に見積りを請求してください。

しかし係争中で弁護士が間に入っているなど、相手がそこまで追い詰められていない場合は、
相手のプライドを傷つけず小康状態を保てば大丈夫でしょう。

※暴力は一つの選択であり、おそらく元社員にとっても好ましい選択ではありません。

こちらがストレス発散の窓口を設けつつ、事態を注視している限り最悪の事態は起こりにくいです。

ストーカーとの大きな違いは、ほとんどの解雇者は遠からず再就職先を見つけ、新しい仕事ができれば前の職場への執着も徐々に薄らいでいく点にあります。
(一概にはいえませんが、ストーカーほど執着心を見せるケースは稀です)

今回のリストから暴力に発展するか否か?心当たりを探り、殆ど当てはまらない場合は過剰に恐れずに、法的な解決に集中しましょう。
暴力の予測において最も信頼できるのは、前触れを一番感じやすい位置にいる「当事者」のカンです。

一番事態を気にかけている「あなた」が導き出した予測に勝るものはありません。

もしも客観的な判断やアドバイスが必要な場合は「防犯被害相談センター」にご一報ください。

4.あなたの会社にボディガードを配置した場合のご予算


ここまでで、自社の危険度が高いと感じた場合は、警察にご相談下さい。

残念ながら具体的な被害がない限り、逮捕に動くことはありませんが、万一数日・数か月後に事件に発展した時のため「確かに現状を伝え相談しました」という既成事実は必要です。

その次は社労士・弁護士に解雇の違法性の確認と法的対抗の依頼です。
しかし実際の襲撃や来社は物理的に遮る以外の方法がありませんので、警備会社に依頼し、必要な期間社内に警備を常駐させてください。

実際ご依頼になると1週間もしくは1か月単位の契約になると思います。
料金は業者ごとに違いますが下記が目安です。

場所:都内
 警備人数:2名
警備時間帯:09:00~18:00
警備配置日:月~金

1週間= 30万円前後
1か月=100万円前後

決して安くはありませんが、従業員はもちろん役員さんやあなた自身の安全には代えられません。
多少の出費は覚悟する必要があります。

また暴力の阻止・防止は特殊な案件です。
普通の警備会社では対応が難しいのでボディガードが可能な警備会社へご相談ください。

加藤 一統

ボデタンナビの運営者
加藤一統 一般社団法人暴犯被害相談センター 代表理事
民間警備会社で1995年より身辺警備(ボディガード)に従事し業界歴25年
ボディガードと探偵の依頼先をお探しの方に、条件やご要望に合う優良な警備・探偵会社を無料で紹介しています。
50歳にしてブログ初挑戦になりますが、長い業界歴を生かし「読みやすく価値ある」記事を目指します。

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